「飛影、これ持って。」 「水?何に使う。」 「花火を消すのに使うの。」 「花火?」 「うん、これから裏の公園で花火をやるの。飛影もやろうね。」 「くだらん。俺は行かんぞ。」 「そんなこと言わないで一緒にやろうよ。飛影と花火するの楽しみにしていたからたくさん買ってあるんだよ。」 「俺は知らん。勝手にやれ。」 「飛影もやってみたらきっと面白いよ。それにたま〜には付き合ってくれてもいいじゃない。 それとも一人で暗い公園に行けとでも言うつもりなの?」 「・・・ちっ」 「あれ?マッチが見つからない。まあ、いいや。飛影、花火に火を点けてね。」 「断る。」 「いいじゃない。花火に火をつけるくらい。こういう時、頼りになる彼氏を持つと幸せだな。」 「、全部燃やすぞ。」 「止めて!家の中で火を出さないでよ!マッチを探すからちょっと待って。」 「最初からちゃんと探せ。」 「もう煩いな。」 「何だと?」 「だから家の中で火を出したら危ないから、早く消してよ!」 「ふん!」 「、まだやるつもりなのか?」 「最後に取っておきのがあるんだから。はい。」 「何だ、これは?」 「線香花火。こうやって静かに持っててね。今、火をつけるから。」 「・・・・・・」 「ほら、綺麗でしょう?線香花火が一番好きなんだ。」 「・・・・・・」 「・・・・・・」 「もう終わったぞ。つまらん。」 「私のはまだ終わっていないよ。」 「何でお前のはまだ点いているんだ?それに何か違うぞ。」 「それは飛影がヘタだから。」 「何だと?」 「飛影は柳の途中で落ちちゃったから。」 「柳?」 「火花の形を日本の木や草花に例えてそう呼ぶの。牡丹、松葉、柳、散り菊。 飛影にはこの情緒は難しいだろうけど。」 「ちっ!いちいち勘に障る奴だな。」 「情緒とは何かわかっているの?」 「知らん。役に立つものか?」 「そういうものじゃない。」 「じゃあ俺には必要ない。」 「あっそ。とにかく静かに揺れないように持っていないと玉が落ちちゃうの。精神統一が必要なのよ。」 「随分、得意気だな。」 「まだあるから挑戦してみたら?飛影には無理だろうけど。」 「飛影、さっきから玉を落としてばかりだね。」 「煩い。」 「あっ!怒るからまた落としたよ。やっぱり短気な飛影には無理みたいだねー。」 「お前が邪魔ばかりするからだ。」 「何もしていないよーだ。」 「ちっ!お前のが特別なんじゃないのか?」 「そんなわけないよ。きっと人を見るんだよ。」 「・・・これは生き物なのか?」 「ぷぷっ。違うよ。」 「それに俺は人間じゃないが、関係あるのか?」 「全く関係なし。」 「何を笑っている。」 「いや、別に・・・」 「肩が震えてるぞ。」 「気のせい、気のせい。」 「。」 「何でもないったら。」 「ちっ!気に入らん。」 「あっ!落ちちゃった・・・。最後の一本だったのに。」 「ふん、人を見たからじゃないのか?」 「・・・・・・拘ってる。」 「ふん、お前が言ったんだぞ。」 「あ〜あ、全部終わっちゃったな。」 「・・・・・・」 「花火が終わって余計に暗く感じない?」 「別に。」 「子供の頃、どうしても花火をやりたくて一人でやった事があって。 花火が消えたら暗闇の中で一人ぼっちになってしまった気がして凄く淋しかったな。」 「今は淋しくないだろう。」 「飛影が側にいてくれるからね。」 「・・・・・・」 「ずっと側にいてくれる?」 「お前が望むならな。」 「じゃあ、淋しくない。・・・これから先もずっと。」 「・・・ああ。」 以上で終わりです。終わりと書かないとどこで終わりなのかわかり難いです(苦笑) B w/z Rの春海様に送っていただきました、 夏ドリームです。 風情ある夢をありがとうございました♪ ムキになりつつも、よくわかってないらしい飛影が可愛いですv |